取引概要

(1).国内取引

1.業務処理範囲(図4参照)

国内取引ー三者間センタ・マッチング(運用配信サービス未利用型)

取引の始点である注文(Order)、出来通知(Notice of Execution : NOE)については、市場参加者の競争の原点であり、各社のニーズに応じた様々なサービスが提供されています。また、出来通知後のアロケーションは、本システムのサービス開始当初は平均単価による売買報告が認められておらず、方式の統一が困難であったことから、本システムの対象外となりました。そこで、本システムは、証券会社による売買報告データの送信及び投信・投資顧問会社による運用指図データの送信から後の業務処理を主なサービス対象としています。
売買報告データ及び運用指図データの送信後は、2で詳述しますように、本システムが約定照合処理、並びに決済指図データの照合及び確定を行い、本システムで確定した決済指図データがそのまま各振替システムに送信され、決済されます。

2.業務処理の概要

本システムは、機関投資家取引を中心に取引成立後の照合業務を行いますので、特定金銭信託取引に代表されるような、バイサイドが運用会社(投信・投資顧問会社)と受託会社(信託銀行)に分かれるタイプと、いわゆるプロパー取引と呼ばれるバイサイドが1社で完結する取引タイプ(プロパー型)の両方をサポートしています。また、前者については、運用会社と受託会社との間のデータのやり取り及び約定照合の方法の違いによって、三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス未利用型)、三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス利用型)、スルー型及び運用指図サポート対象外型の4つのタイプがあります。
さらに、これら機関投資家取引向けのタイプに加えて、業者間取引などの相対取引の結果を双方で確認するための二者間センタ・マッチング型、及び株式の新規記録情報を確認するためのデュプレックス型というタイプも併せてサポートしています。
ここでは、機関投資家取引向けの代表的なタイプとして、三者間センタ・マッチング(運用指図配信サービス未利用型)の業務処理の概要を説明します。

  • 1

    売買報告データ及び運用指図データの送信(図中①、②)

    先述しましたように、運用会社から証券会社への注文、証券会社から運用会社への出来通知及び運用会社と証券会社との間のアロケーションは本システムの業務処理対象外ですので、証券会社からの売買報告データの送信及び運用会社からの運用指図データの送信からスタートします。
  • 2

    売買報告データ及び運用指図データのマッチング(約定照合)(図中③)

    売買報告データ及び運用指図データが送信されると、本システムではマッチング・ロジックにしたがって、照合相手となるデータの検索を行います。相手データが特定できた場合には、両データの約定内容の照合を行い、“照合一致”又は“照合不一致”のステータスを付して両データの送信元に対して約定照合結果通知データをリアルタイムで送信します(図中④)。なお、“照合不一致”だった場合には、不一致理由及び不一致だった項目に関する相手方の設定値を送信します。
  • 3

    信託銀行への売買報告データ/運用指図データの送信及び売買報告承認データの送信(図中⑤~⑧)

    前記2.で“照合一致”となった売買報告データ/運用指図データはリアルタイムで信託銀行に対して送信されます(図中⑤、⑥)。信託銀行は、取引内容の確認を行い、売買報告承認データ(“承認”又は“非承認”)を送信します(図中⑦)。本システムはこれを受け、証券会社に対し売買報告承認結果通知データ(図中⑧)を送信します。信託銀行の承認結果が“非承認”であった場合には、証券会社(又は/及び運用会社)は送信済みの売買報告データ(又は/及び運用指図データ)の取消し及び(修正後の)売買報告データ(又は/及び運用指図データ)の再送信を行います。
  • 4

    決済指図データの作成(図中⑨、⑩)

    上記3.で信託銀行の送信した売買報告承認データのステータスが“承認”であった場合は、次のステップ、すなわち決済指図データの作成に移ります。
    一般的には、証券や資金の口座番号などの決済条件は、取引の度に変わるものではなく、通常利用される条件(Standing)がファンドごとに決まっています。そこで本システムではファンドごとのこれらの決済条件を一括して事前登録しておくためのデータベース(Standing Settlement Instruction(SSI)Database)を用意しています。このデータベースを使うことにより、約定照合が完了した売買報告データ及び運用指図データを基にして、事前登録された決済条件を付与することで、本システム内で自動的に決済指図データを作成することになります(図中⑨)。本システムにおける決済指図データの作成をもって、両当事者の決済条件は “照合一致”したものとみなし、両当事者に対し“照合一致”のステータスを付した決済照合結果通知データを送信します(図中⑩)。 このような一連のプロセスによって、決済の両当事者である信託銀行及び証券会社が、自ら決済指図データを作成して送信するよりも早くかつ確実な処理が可能となっています。
  • 5

    DVP振替請求データの作成(図中⑪)

    上記4.で振替システムへ連携し、DVP決済を行う旨が指定されている決済指図データについて、決済条件が一致し、かつ両当事者が証券及び資金の受渡しを実行可能であると指定した場合、即時に渡し方及び受け方の決済指図データからDVP振替請求を生成し、振替システムに送信します(図中⑪)。

3.三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス未利用型)以外の取引タイプ

「2.業務処理の概要」で説明した三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス未利用型)以外に、本システムでは、三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス利用型)、運用指図サポート対象外型、スルー型、プロパー型、二者間センタ・マッチング型及びデュプレックス型の6つの取引タイプをサポートしています。

  • 1

    三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス利用型)

    三者間センタ・マッチング型(運用指図配信サービス利用型)は、運用指図データを運用会社から受信するのではなく、本システムにおいて証券会社から送信された売買報告データをもとに運用指図データを代理作成してこれを運用会社に送信する形態です。運用会社は、内容を確認した後に改めて運用指図データを返信します。証券会社から運用会社に送付している「約定連絡」のFAXなどを本システムによるデータ伝送に置き換えることが可能となります。
  • 2

    運用指図サポート対象外型

    運用指図サポート対象外型は、運用会社が本システムに参加せず、別の手段で運用指図データ(又は運用指図書)を信託銀行に送信する形態です。このタイプの場合、信託銀行は、本システムからは証券会社が送信した売買報告データのみ受信し、このデータと、別の手段で受領した運用指図データ(又は運用指図書)を自社内で照合し、売買報告承認データを本システムに送信します。
  • 3

    スルー型

    スルー型は、本システムで運用指図データと売買報告データの照合を行わず、運用会社が運用指図データを、証券会社が売買報告データを、それぞれ本システムを通じて信託銀行に送信する形態です。主に投資信託の債券取引において、投信委託会社が個別法と呼ばれる債券の評価方法を採用している場合に用いられています。このタイプの場合、信託銀行は、本システムから受領した運用指図データと売買報告データを自社内で照合し、売買報告承認データを本システムに送信します。
  • 4

    プロパー型

    プロパー型は、バイサイドが1社で完結する取引タイプ、すなわち生損保や信託銀行が自ら運用を行う取引などに利用されています。本システムを通じて証券会社から送信された売買報告データの内容をバイサイドが自社内で照合し、売買報告承認データを送信する形になります。バイサイドが1社で約定から決済まで行うため、運用指図データの送受信という行為がなくなり、業務フローは特定金銭信託取引などと比較してシンプルになります。
    また、CB(転換社債型新株予約権付社債)及び一般債の新規記録情報を引受証券会社又は引受会社・社債権者と発行代理人との間で確認する際にも、プロパー型が用いられます。
  • 5

    二者間センタ・マッチング型

    二者間センタ・マッチング型は、業者間取引などにおける相対取引の結果を双方が確認しあうことを想定し、売り手及び買い手が、それぞれ売買報告データを送信する形態です。本システムにおいて、売り手及び買い手の双方が送信した売買報告データの約定照合を行い、約定照合結果通知を本システムから即時に送信します。
  • 6

    デュプレックス型

    デュプレックス型は、株式等の新規記録を行う際に、引受証券会社、株主名簿管理人、払込取扱銀行の三者の間で新規記録情報の内容を確認しあうための形態です。引受証券会社が送信した新規記録情報データの内容を、株主名簿管理人、払込取扱銀行が順に確認し、新規記録情報承認データを本システムに送信します。

(2).非居住者取引

1. 業務処理範囲(図5参照)

非居住者取引においては、本システムで約定照合は行わず、カストディ業務を行う銀行、証券会社などの決済代理人間で行われる非居住者の対日証券取引に関する決済指図データの照合のみを行います。

非居住者取引

2. 業務処理の概要

  • 1

    決済指図データ及び決済照合結果通知データの送受信(図中①、②)

    カストディ業務を行う銀行及び証券会社などの決済代理人から決済指図データが送信される(図中①)と本システムではマッチング・ロジックにしたがって照合相手となるデータの検索を行います。相手データが特定できた場合には両データの決済情報の照合を行い、その結果を示すステータスを付して、データの両送信元に対して決済照合結果通知データをリアルタイムで送信します(図中②)。
    なお、決済照合を行うに際して、非居住者取引においては両当事者間で決済金額の軽微な差異が生じることが多く、金額を正確に一致させるためには海外の取引当事者も交えた確認が必要なため、円滑な決済処理が困難となります。そこで、2014年1月以降は、両当事者間の差額が100円以下であれば、証券の渡し方の金額をもって一致したものとみなすこととしています。
  • 2

    決済指図修正データ及び決済指図修正完了結果通知データの送受信(図中③、④)

    前記1. で決済指図データが送信された時点で、証券又は資金の受渡しが実行不可であると指定されていた場合には、決済代理人がその理由となっている証券残高又は資金残高を確認し、受渡しの実行が可能となった旨を指図するために、決済指図修正データを送信する必要があります(図中③)。本システムはこれを受け、登録済みの決済指図データのステータスを修正し、修正後のステータスを付した決済指図修正完了結果通知データを、前記1. における決済指図データの両送信元に対して送信します(図中④)。
  • 3

    DVP振替請求データの作成(図中⑤)

    前記1. で振替システムへの連携とDVP決済を行う旨が指定されている決済指図データについて、すべての決済情報が一致し、かつ両当事者が証券の受渡しを実行可能であると指定した場合、即時に渡し方及び受け方の決済指図データからDVP振替請求を生成し、各振替システムに送信します(図中⑤)。

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