コンセプト

1.我が国の決済環境を前提としたSTP及び決済リスク削減の実現

機関投資家取引において、運用を行う機関と運用財産の管理を行う機関が異なるという形態は、我が国に限らず欧米等においてもよく見うけられるものですが、特定金銭信託取引において信託銀行が運用内容の確定を行う権限及び義務を負っているという点は我が国特有のものと言えます。そのため、我が国特有の決済環境を前提としたSTP化の実現を目指し、本システムを開発いたしました。
また、特に2008年のリーマン・ショック以降、国内外でより一層の決済リスク削減を目指す動きが広まったことを受けて、2014年初より本システムでも新たに貸株取引のDVP決済を実現するなど、新たに求められる動きへの対応にも努めています。

2.国際標準に準拠した日本標準の策定及び採用

証券市場の国際化は急速に進展しています。本システムのサービス開始までは国内だけで通用する独自のメッセージ・フォーマット、ネットワーク及び各種コードを使ってシステムを構築することが一般的でしたが、現在では常に海外との接続を念頭に置いたシステム構築が必要となっています。そのため、本システムでは、下記のようなメッセージ・フォーマット、ネットワーク及び各種コードを採用しています。

  • 1

    メッセージ・フォーマット:ISO20022

    ISO15022は、2002年秋以降、S.W.I.F.T.(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)ネットワークにおいて標準的に使用されることとなった証券決済、資金決済などの電子メッセージのフォーマットをISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)に登録したものです。更に、金融業務に係るメッセージ・フォーマットの登録手続に関する新たな国際標準として、2004年にISO20022が制定されました。以降、ISO15022の後継として、ISO20022に準拠した次世代メッセージ・フォーマットを利用する機運が国際的に高まりつつあります。
    本システムでは、サービスの開始当初よりISO15022をベースとしたメッセージ・フォーマットを採用してきましたが、2014年1月からISO20022に完全準拠したメッセージを採用いたしました。こうした取組みは、証券決済の分野において世界に先駆けたものです。
    これらの国際標準メッセージ・フォーマットを採用することによって、例えば日本のサブ・カストディアンは、グローバル・カストディアンから送信された決済指図を容易に本システムに送信することが可能となります。
    また、ISO20022は拡張性に富んだ構造をとっていることから、本システムの対象有価証券の拡大、及び取引形態の多様化など将来の拡張性を担保することができると考えています。
  • 2

    証券コード:新証券コード(ISIN(International Securities Identification Number))

    新証券コード(ISIN)は国際証券コード体系(ISO6166)に準拠して証券コード協議会によって附番されている標準コードで、国内株式は全てJP+基本コード+チェックディジットの12桁で構成されています(国内で公募により発行された債券なども同様です。)。ISINは各国の証券コード附番機関が国際証券コード体系に準拠して附番したものであるため、世界共通の唯一のコード体系と言えます。これを採用することはメッセージ・フォーマットとして前述のISO20022を採用することと同様の効果があると考えています。
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    金融機関識別コード:BIC(Business Identifier Codes)

    本システムにおいては、取引の相手方及び決済の相手方など様々な関係者をコードによって識別する必要があります。BICはISO20022において標準的に使用されている金融機関識別コードの体系で、ISO9362として国際標準化されています。本システムを利用する際には、銀行及び証券会社はもとより投資信託委託会社及び投資顧問会社など、原則的にはすべての利用者にBICを取得していただくことになりますが、何らかの理由でBICが取得できない場合には、統一金融機関コード又は証券会社等標準コードなどを補助的に用いることによりシステム上、識別することとしています。

3.売買当日照合(T+0マッチング)

本システムはT+3決済(約定日の3営業日後に決済することを指します)という環境下においてスタートしましたが、将来のT+1決済の実現をにらみ、約定日当日に照合を終了させること(T+0マッチング)を目標としてきました。結果として、株式の国内取引の99%以上について、約定日当日に約定照合を終了させることができています。
T+0マッチングの実現はまた、投資信託委託業務の利便性の向上にも寄与するものであると考えています。すなわちオープンエンド型の投資信託は基準価額(追加及び解約の基礎となる受益権の一口当たりの時価)を毎日算定及び公表しなければなりませんが、その価額の算定は早くそして正確であることが求められます。本システムにおいては、売買当日に投資信託委託会社が作成する運用指図データと証券会社が作成する売買報告データの照合をリアルタイムで行い、照合一致したデータを受託銀行である信託銀行に送信します。これにより、信託銀行側においても基準価額の算定をスムーズかつ正確に行うことができ、投資信託委託会社の算定した基準価額との照合がより早く正確に行われるようになりました。

4.清算機関及び各振替システムとの連動

決済リスクの削減にあたって、清算やDVP決済が果たす役割は大きなものです。その円滑な実現のためには、事前に当事者間で約定及び決済の内容を照合し、認識を一致させることが欠かせません。こうした観点からも、本システムにおける約定照合及び決済照合は重要視されています。さらに、照合から清算、決済に至る一連の処理をSTP化するためには、利用者と本システムとの間のみならず、清算や決済を担う市場インフラとの間についても、情報の授受の自動化及び電子化を進めることが必要になります。こうした背景を基に、本システムは以下のとおり清算機関及び各振替システムとの間で、データの自動的な連動を実現しています。

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    株式等

    2004年5月の一般振替DVP制度の実施に伴い、本システムは株式等振替システムとの連動を開始しました。本システムにおいて決済照合一致となった株式等の決済指図データのうち、振替システムへの連動を指図されたデータは、振替システムに自動的に送信され、別途追加の指図入力を行うことなしに決済を完了させられるようになっています。また、一般振替DVP制度を用いたDVP決済を行うためには、本システムへの参加が必須となっています。
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    一般債及び短期社債

    2006年1月から、本システムは一般債及び短期社債の取扱いを開始し、併せて一般債・短期社債振替システムとの連動を開始しました。前述の株式等及びCBと同様に、本システムにおいて決済照合一致となった一般債及び短期社債の決済指図データのうち、振替システムへの連動を指図されたデータは、振替システムに自動的に送信され、DVP決済を行うことが可能となっています。
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    国債

    国債は日本銀行において決済が行われますが、本システムでは2003年5月から国債の売買取引に係る約定照合及び決済照合の取扱いを開始しました。さらに、日本証券クリアリング機構(2005年当時の日本国債清算機関。以下、本ページ内において同様です)における国債の清算業務開始に先立ち、2005年2月から国債のレポ取引及び現先取引に係る約定照合機能の提供を開始しました。その後、2005年5月に日本証券クリアリング機構において、国債の清算業務が開始されたことに伴い、本システムは日本証券クリアリング機構との連動を開始しました。本システムにおいて、約定照合一致となった国債のデータのうち、日本証券クリアリング機構での債務引受対象として指図されたデータを自動的に日本証券クリアリング機構に連携するとともに、日本証券クリアリング機構において債務引受対象として認定されたネッティングの結果などの各種データを日本証券クリアリング機構から本システムが受信し、日本証券クリアリング機構の参加者に配信しています。

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