振替株式に係る仕組み

株式等振替制度(振替株式)の主な仕組みをご紹介します。

機構が取り扱う株式

機構は、次の株式のうち、その発行者から機構での取扱いに係る同意を得ているものを取扱いの対象とします。

  • 1
    金融商品取引所に上場されている株式又は上場する予定の株式
  • 2
    日本証券業協会によりフェニックス銘柄に指定されている株式
  • 3
    日本証券業協会の定める「株主コミュニティに関する規則」に基づき株主コミュニティが組成されている株式
  • 4
    特定投資家向け有価証券であり、日本証券業協会の定める「店頭有価証券等の特定投資家に対する投資勧誘等に関する規則」に基づく特定投資家向け銘柄制度の対象となる株式
  • 5
    有価証券報告書を提出している会社の発行する株式
  • 6
    上場会社の発行する非上場株式(種類株式等)

新規記録手続(新規上場時等)

発行会社が取引所に新規上場するときなどは、新規記録の手続が行われます。新規上場する発行会社の既存株主は、証券会社等にあらかじめ開設した株式の記録を受けるための口座を発行会社へ通知するために、口座通知取次ぎ請求を行います。発行会社は、この口座通知に基づき、新規記録通知を行います。口座通知取次ぎ請求を行わなかった株主については、発行会社の指定する信託銀行等が開設する特別口座にその株式が記録されます。資料1は、その取扱開始時の新規記録手続の概要を示しています。このほかに、すでに上場している発行会社が増資のための新株発行をするときなども、新規記録の手続が行われます。ただし、特別口座が開設されることはないなど、取扱開始時の手続とは内容が異なります。

取扱開始時の新規記録手続
①発行会社による同意の決定 ②発行会社から既存株主へ口座を通知すべき旨等の通知(発行会社は、株主に対し、会社に自己の口座を通知すべき旨、当該通知がない場合に特別口座が開設される口座管理機関名等を通知する) ③既存株主による口座通知取次ぎ請求 ④発行会社による株主名簿との照合(口座通知のない株主の抽出) ⑤発行会社から信託銀行等へ特別口座の開設の申出(発行会社は、口座通知のない株主のために、あらかじめ株主に通知した特別口座を開設する口座管理機関に対し、特別口座の開設の申出をする) ⑥発行会社から機構へ新規記録通知 ⑦機構から証券会社等へ新規記録情報の通知(機構は、発行会社からの新規記録通知に基づき、証券会社等に新規記録情報を通知する) ⑧証券会社等による新規記録(証券会社等は、機構からの新規記録情報の通知に基づき、株主の口座に新規記録を行う)

(資料1)取扱開始時の新規記録手続

振替手続

振替株式の譲渡は、振替の申請により、譲受人がその口座における保有欄に当該譲渡に係る数の増加の記録を受けなければ、その効力を生じません。この振替の申請は、振替によりその口座において減少の記録がされる加入者(譲渡人)が、その直近上位機関(加入者の口座を開設する口座管理機関)に対して行います。
また、振替株式の質入れは、振替の申請により、質権者がその口座における質権欄に当該質入れに係る数の増加の記録を受けなければ、その効力を生じません。資料2は、その質入れのための振替手続の概要を示しています。

担保取引(質権設定)による振替手続(X社がY社に対し、A社株式5株を質入れするケース) ①X社とY社による質権設定契約(X社がY社にA社株式5株を質入れ) ②X社による振替申請(X社は、A社株式が記録されている自己の口座のある証券会社等に対し、A社株式5株について、Y社の口座(質権欄)への振替申請をする(質入れのための振替申請)) ③X社の口座からY社の口座へ口座振替(口座振替により、質権設定者であるX社の口座(保有欄)からA社株式5株が減少され、質権者であるY社の口座(質権欄)にA社株式5株が増加される(この5株の株主はX社であることも口座に記録される)) ③Y社からX社へ資金貸付等 なお、X社の口座とY社の口座が異なる口座管理機関に開設されている場合と、同一の口座管理機関に開設されている場合の、いずれもありうるが、どちらの場合であっても口座振替が行われることに変わりはない

(資料2)担保取引(質権設定)による振替手続

単元未満株式の買取請求・売渡請求に係る手続

加入者は、口座管理機関に対して、自己の口座に記録されている単元未満株式についての買取請求の取次ぎを請求することができます(買取請求の対象となる単元未満株式を発行会社の口座に振り替えるための振替申請をあわせて行う形になります)。資料3は、その単元未満株式の買取請求の手続の概要を示しています。
また、加入者は、口座管理機関に対して、自己の口座に記録されている単元未満株式売渡制度を採用している発行会社の単元未満株式にかかる売渡請求の取次ぎを請求することができます。

単元未満株式の買取請求の手続 ①株主から証券会社等へ買取請求の取次ぎ(代金受取方法の指定の取次ぎ)の請求及び振替申請(株主は、証券会社等を通じて単元未満株式の買取りの請求をする(同時に、単元未満株式について、会社の口座への振替申請をする)) ②発行会社から機構へ買取日・買取価格の連絡(発行会社は、買取価格が決定したときは、機構に買取日・買取価格を連絡する(買取日は、買取価格決定日の4営業日後の日)) ③機構から証券会社等へ買取日・買取価格情報の連絡(機構は、発行会社からの買取日・買取価格の連絡に基づき、証券会社等に買取日・買取価格情報を連絡する) ④株主の口座から発行会社の口座への口座振替及び株主への買取代金の支払(発行会社は、買取日に、株主の指定した代金受領口座に買取代金を入金する等の方法により、買取代金を支払い、証券会社等は、買取日に、株主の振替申請による単元未満株式の振替を実行する)

(資料3)単元未満株式の買取請求の手続

一部抹消手続

発行会社が自己株式を消却するときは、発行会社の口座に記録されている自己株式の記録を抹消するための一部抹消手続が行われます。資料4は、その一部抹消手続の概要を示しています。

自己株式消却(一部抹消)の手続 ①発行会社による自己株式消却の決定(発行会社は、取締役会において自己株式消却の決議を行う) ②発行会社から証券会社等へ一部抹消申請(会社は、消却する自己株式が記録されている自己の口座を開設している証券会社等に対し、一部抹消申請をする) ③発行会社から機構へ一部抹消に関する事項(一部抹消する数、口座等)の連絡(発行会社は、一部抹消申請をするときは、機構に一部抹消に関する事項を連絡する) ④機構から証券会社等へ一部抹消に関する情報(一部抹消する数、口座等)の連絡(機構は、発行会社からの一部抹消に関する事項の連絡に基づき、証券会社等に一部抹消に関する情報を連絡する) ⑤発行会社の自己口座にて一部抹消(証券会社等は、発行会社による一部抹消申請及び機構からの一部抹消に関する情報の連絡に基づき、自己株式の抹消を行う(消却の効力発生))

(資料4)自己株式消却(一部抹消)の手続

会社の組織再編に係る手続

たとえば吸収合併において、存続会社と消滅会社が共に上場会社であって、吸収合併の対価として消滅会社の株主に存続会社の振替株式が割り当てられる場合には、口座管理機関は、機構からの合併情報の通知に基づき、効力発生日に、すべての加入者の口座について、消滅会社株式の数に割当比率を乗じた数の存続会社株式の記録と、消滅会社株式の抹消を行います。資料5は、その吸収合併のときの手続の概要を示しています。
なお、会社の組織再編ではありませんが、振替株式について株式分割や株式併合が行われるときも、同様に、加入者の口座において自動処理されます。

吸収合併の手続(A社(存続会社)とB社(消滅会社)において吸収合併を行うケース) ①A社とB社による吸収合併契約(発行会社は、株主総会において吸収合併契約の承認決議を行う) ②A社から機構へ合併の通知(割当比率、効力発生日等) ③機構から証券会社等へ合併情報(割当比率、効力発生日等)の通知(機構は、発行会社からの合併の通知に基づき、証券会社等に合併情報を通知する) ④株主の口座へ口座記録(証券会社等は、機構からの合併情報の通知に基づき、効力発生日に、すべての加入者の口座について、消滅会社株式の数に割当比率を乗じた数の存続会社株式の記録と、消滅会社株式の抹消を行う) なお、ここでの説明として、B社株式の取扱廃止に伴う総株主通知については、省略している

(資料5)吸収合併の手続

総株主通知

総株主通知は、振替機関が、振替法(第151条)に基づき、株主確定日における振替口座簿の記録事項を発行会社に通知するものです。株式等振替制度では、当該通知を円滑かつ適切に行うため、口座管理機関から振替機関への報告や振替機関から発行会社への通知を、原則としてすべてコンピュータ処理で行います。また、振替機関は、総株主通知等に係る準備行為として、あらかじめ口座管理機関から、口座管理機関の加入者の氏名又は名称その他の必要な事項の通知を受け、加入者の名寄せその他の必要な管理を行います。

個別株主通知

個別株主通知は、振替機関が、振替法(第154条)に基づき、少数株主権等を行使しようとする加入者に係る振替口座簿の記録事項を発行会社に対して通知するものです。少数株主権を行使しようとする加入者は、口座管理機関を通じて、振替機関から発行会社に対して、個別に通知を行うよう申し出ていただきます。

発行会社による情報提供請求

株式等振替制度では、振替口座簿の記録事項を証明した書類の交付又は当該事項に係る情報の提供を請求できる主体として、加入者本人のほか、発行会社等の加入者の口座に利害関係を有する者についても、正当な理由があるときは、加入者の直近上位機関に対して当該直近上位機関が定める費用を支払って、情報提供の請求を行うことができるようになっています。

配当金に関する取扱い

登録配当金受領口座方式
加入者が、あらかじめ、一の金融機関預金口座を口座管理機関に対して通知し、当該口座管理機関から通知を受けた振替機関が総株主通知の際に、当該預金口座を当該加入者が保有する銘柄の発行会社に通知することにより、株主が、すべての銘柄の配当金を単一の預金口座で受領する仕組みです。
株式数比例配分方式
加入者が、あらかじめ、配当金の受領を口座管理機関に対して委任することによって、当該口座管理機関が加入者にかわって配当金を受領する仕組みです。
単純取次ぎ
加入者が、あらかじめ、個別の銘柄ごとに配当金を受領する金融機関預金口座を口座管理機関に通知し、その都度、振替機関が発行会社に対して、当該預金口座を通知することにより、株主が、個別銘柄ごとに指定した預金口座で配当金を受領する仕組みです。

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